「創作」としてのMisskey鯖運営と、Botの開発と運用

Fediverse Advent Calendar 2023の第二会場。23日目の記事です。

概要


 鯖缶たちはなぜ、対価のない行為であるMisskey鯖の構築や運営をやるのだろう。
 という疑問に「創作であるから」と答える記事です。


 僕はなぜBotの開発を始めたのだろう。
 という疑問に「だから、創作したいんでしょ……」と答える記事でもあります。

 Fediverseにおける分散の非効率性やその他全ての欠点に対して「創作だから問題ない」と答える為の記事です。

 全ての羞恥心、そして理性は創作である。という認識によって無効化できます(ちょっと訓練は必要かもですが)

 創作の定義:人生や思想や意思に、芸術性という一枚のフィルタを通したもの。
 

自己紹介

 当方は『総合創作サークル「星海天測団」』を名乗り、Misskey鯖である「星海天測団ーMisskey支部」(以後「うちの鯖」)の鯖缶、Botである「アストロラーベ」(以後「ラーベちゃん」)の開発をしています。このサイトをはじめとするWeb鯖も運営しています。全て自宅鯖です。

 これら以外だと、NOAHという年刊の文芸誌制作がいまのところ中心です。

 過去にはボイロ実況やセンシティブな小説を書いたりもしていましたが、探ってはいけません。いけません。。

サーバ創作活動

 本題です。Misskey鯖の構築や運営を「創作」と主張するのは少し思想が強いかもしれないので、ちまたの鯖缶たちが日夜取り組んでいる活動から考えていきます。

1:バージョン選択

 この記事を読んで下さっている鯖缶の方が管理している、またはFediverse住人の方が暮らしているのはソフトウェアの何のバージョンでしょうか?

 Misskeyに限って言えば何のバージョンを使うのか、いつアプデを適用するのか、という問題は、鯖缶による一つの自己表現であるはずです。安定版かBeta版か、早期に適用するのか、ある程度様子見をするのか。。

 アプデ一つ取っても鯖缶達の様々な意思があります。

 そこには合理的ではない一貫性があり、それはサーバブランディングとしてサーバ創作活動の一つになってる感じがあります。ありますよね?

 それと、有名なMisskeyの鯖だと、多くがフォークして独自機能を入れていたり、逆に制限を掛けていたりします。これもまた、表現。

 Misskeyだけでもたくさんの芸術性が発揮されることがわかります。

 ちなみに、うちのサーバは安定版を早めに適用するバニラ鯖です。

 (正しくはBeta版を触る技術力はないけど新しい物好きではあって、けどやっぱりカスタムする勇気はない鯖缶が運営する鯖)

2:カスタム絵文字

 そうそう。

 鯖における表現、といったら代表的なものはカスタム絵文字でしょう。一番に持ってくると勘違いされてしまいそうだったので二番目にしました。

 ここで言うカスタム絵文字による表現とは、素敵なイラストやウィットに富んだ文ではなく、何の絵文字をどこまで入れるか、ということです。

 ioのレターパック構文はMisskeyの普及、ioの雰囲気作りに一役買いましたが、うちの鯖は入れていません(Misskey外の方に説明すると、Misskeyには他の鯖の絵文字を使える機能があります)。

 これはサーバブランディング的にうーんとなったからです。ioのノリが苦手なネット陰キャ(ぼく)の創作、主張として、入れないと決めました。
 
 逆に強化しているのはアニメのセリフ系絵文字、それとニコニコ動画におけるコメント文絵文字です。

 理由は僕が多いときで一日200ノート近くする位のアニメ実況民だからです。鯖缶の強権、といったところでしょうか。布教目的でもあります。これは分かりやすい。

 アニメ実況は得てしてTLを専有する行為ですが、うちの鯖では歓迎です(だって鯖缶がやってるから)、という意図を込めて大量導入(というか大量制作)しています。
 
 逆に、うーん→やるか、、となった事例もあります。それがBlobCatの導入です。
 
 「うーん」だった理由はそこまで入れたいとも思っていなかったから。
 
 「やるか、、」になった理由はサーバ利用者の方から要望があったから。
 
 です。

 もちろん他の鯖の絵文字導入は要望があってもお断りする場合もあります(オリジナルイラスト系、版権イラスト系など)

 これもまた、コミュニティの力動という鯖缶の表現だと考えています。(管理できている、意図通りに作れている場合)

3:利用規約(フレーバーテキスト)

 利用規約は鯖缶の思想が如実に表れる最大のお気持ちだと思っています。

 実用目的というより、サーバのフレーバーテキスト(演出用の文章)だとすら思っています。(もちろん効力を持つ文章ではありますが)

 火力と思想は強ければ強いほど良い、ということで、うちの鯖の規約はこれです。

 https://misskey.seitendan.com/@takumin3211/pages/1693751961645

 特徴は苦情解決と鯖缶がやる責務を書いている点です。

 利用者に求める一方通行ではなく、鯖缶も拘束する双方向の規約としています。

 これは、ある程度開かれた鯖でありたい、という意思があるからです。その意思をたらたらと、利用規約風の硬い文に落としているところに一枚の芸術性フィルタが掛けられているのが分かるでしょうか。

 ガバガバのフィルタなので色々通り抜けてる気もしますが、GTLで頻繁にお見かけするやべぇ人(やけに幼い、思想がヤバイ、距離感がバグってるetc…)を弾くにはこれくらいの火力でちょうどいいと思ってます。

4:鯖缶同士のアカウント作り合い

 この世の全ての物語に、原作が存在するように、コミケだってコミティアだって文フリだってそういう相互作用を活発化させるイベントであるように。サーバとて色々なサーバに影響を受けて今があります。(そういえば、このアドベントカレンダーだってそうですよね)

 サーバの相互作用の一つに、鯖缶同士のアカウント作り合いがあると思っています。

 登録を閉鎖してる鯖も、鯖缶にはコードを発行してあげたり、、とかって感じですね。

 他の鯖に行ってみると色々新鮮だったりします。LTLが無かったり、そもMisskeyじゃなかったり、、
 現実の宇宙と違ってFediverseは隣の星に一瞬で行けるので、インスピレーション湧きまくりです。

 まぁLTLを無効化する方法も、Misskey以外を鯖に入れる方法も分からないんですが。

 アカウント作り合い、とまではいかなくても鯖缶コミュニティに居るだけでインスピレーションが湧くこともあります。

5:Botの運用・交流

 次はラーベちゃんのお話です。無知だった私はGTLで見かける藍ちゃんは、鯖缶それぞれが自作しているんだとばかり思っていました。

 なんで名前同じなんだろう、機能が同じなんだろうとは思っていました。

 そんな勘違いの元、私はラーベちゃんの制作に取りかかります。もちろんすぐに勘違いに気がつく訳ですが、直接入れるのも気が引けるので開発を継続します。

 と、いうことで数ヶ月掛けて完成したのがラーベちゃんです。

 詳しくは紹介記事を読んで頂ければ。

 ラーベちゃんはゼロから構築した、かなり創作感のあるBotです。が、もちろん藍ちゃんだって名前を変えたり、独自機能を付け足ししたり、キャラを付けたり、とかなり創作する要素はあって、実際に多くの鯖缶が藍ちゃんをカスタムしているのではないでしょうか。

 はい、Botに創作を見いだすことにまだ違和感を感じる方がいるのも分かってます。

 手前味噌で恐縮ですが、ラーベちゃんはあらゆる機能にランダムを組み込んで人っぽさを演出しています。リプライも各種コマンドを仕込みつつ、LLMによってあらゆる種類の投稿になんらかの意味をもった回答を出来るようにしています。ここにあるのは一貫したデザイン、設計思想です。そこに合理性はなく、あるのは芸術性なのです。

 いったいBotを作ったところで誰が使うのでしょうか。お天気ノート機能はウェザーニュースを見れば良いし、LLMと喋りたかったらBardやBingAIといったハイスペLLMがいくらでも無料で触れます。合理的ではないその存在があるのは「人に近しいBotを作りたい」という芸術です。

 Botを構築するプログラミングは正真正銘の創作です。

 言語を操れば小説家になり、筆をとれば画家、楽器を持てば演奏家になるのです。キーボードを叩けば、そこにいるのはプログラマであって、サーバー管理者であり、小説家、画家、演奏家に並ぶ立派な創作者の誕生なのです。

 決められた工数で決められた内容のコーディングをするプログラマが創作者か、という議論はともかく、鯖缶、そしてBot開発者に関してはそう、断言出来ます。

 折しも、TwitterはAPIを規制しBotを規制する方向に舵を切りました。様々なAPIを自由に触れることが多いFediverseに接続したSNSはBot開発に最適なプラットフォームです。

 なんせ、1秒間に200投稿するBotを作ったところで、自分のサーバで、連合を切ってさえいれば(ここすっごく重要)自由なのですから。

 もちろん、常識的な投稿をするBotをGTLで見かけるのは大歓迎です。

<<本文ここまで>>

最後に。

 世界に生きる全ての人が、成りたい何かに成ろうと、成れている何かで在り続けようとしています。
 
 誰もが世界という、他人の人生という、大いなる物語の登場人物でありたいとしているのです。
 
 例えば、勤勉な労働者、良き母、頂点を目指す学生、専業を諦めながらも筆を折らない作家、現実は恵まれずともネットに居場所があると信ずる者。そして、全てを諦め人生を捨てた者。
 きっと何者にもなれない僕らが、何者かになる為にもがく過程。それが生きるということだと思います。
 

 
 すでに何者かである僕らが、それに気が付かず何者かになりたいと希求し、果てのない努力を続ける過程。

 それが生きるということだとするなら。

 
 
 百年を掛けた壮大なロールプレイ。

 
 
 それが人生なのかもしれません。
 
 なら、鯖缶になったって。Bot開発者になったっていいじゃないか。
 そう思うのです。
 
 参加者一人のサーバ、フォロワー一人のBot。それで良いのです。
 Fediverseに居る限り、数百万を越える星々と触れ合えるのですから。
 
 そして、鯖缶もBot開発者も、何かを生み出す「ロール」です。
 その手から産まれたそれは創作であり、今年を、今日を、今を生きた証です。他者の人生を豊かにした偉大な存在です。少なくとも私の人生を豊かにします。
  
  
 サーバ運営やBot開発はFediverseを舞台にした立派な創作活動です。あなた(Fediverse)に降り注ぐ全ての言葉、あなた(Fediverse)が自身に投げかける全てのネガティブな思いに意味はありません。

 なぜなら、あなたは創作をしているのだから。Fediverseは創作なのだから。
 
 原始より今日まで存在した全ての人類、そして昨日までのあなたが作れなかったものを、今日のあなたは創ったのです。こんなにも偉大なことがあるでしょうか。
 
 昨日まで、世界になかったもの。を見るために、私は今日もFediverseを旅します。
 
 

 2023/12/23 総合創作サークル「星海天測団」 代表:天波匠

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